理事長挨拶
水上博司(日本大学)
2023-24年度の新理事長を仰せつかることになりました。今春、中京大学で開催された新理事会にて、ご指名を受けた際、私のような浅学非才の者に務まるのか、いつもの癖で逃げ腰になってしまいました。が、その場に参集した松尾新会長はじめ新理事の布陣を眺めていますと、番頭役がいたり、補佐役がいたり、脇役も相談役もいたりと、労を惜しまずに学会運営にご尽力いただける面々であることを確信しました。新理事会の初動態勢は、すぐさま出来上がり、逃げ腰の私に一喝を入れていただいたように思います。微力ですが、誠心誠意務めてまいりますので、どうか2年間、よろしくお願いいたします。
さて、本学会は、コロナ感染症の猛威が広がる中、学会活動の歩みを止めることなく、年次大会は第29回(秋田大学:2019年度)、第30回(京都産業大学:2020年度)、第31回(東海大学:2021年度)をオンライン方式で開催してきました。また研究会や機関誌刊行など、学会の基幹となる活動は、前会長・前理事長をはじめ理事会と事務局、そして大会実行委員会の献身的なご尽力により、コロナ禍であっても後退することはなく、学会の新たなインフラ整備につながる活動を展開することができました。それはポスト・コロナ時代の学会活動のあり方を考える上で、大変な貴重な3年間であり、会員一人ひとりに刻印されてきた研究史の一コマであるとも感じています。これからの任期中の2年間、ポスト・コロナからAIに代表される社会変動をも見据えつつ、学会活動のこれからを考えてまいりたいと思います。
私は1991年3月の本学会誕生以来の正会員ではありますが、一時期学会大会への参加や学会活動からやや気持ちや足が遠のいた期間がありました。私自身、研究成果はパッとせず、その上にNPOの運動者としても身を置いていたため、研究とNPOとの二重生活のジレンマが遠のいた理由でもありました。そんな中、オンライン(メール)でも、対面でも先輩会員や旧知の会員から声をかけていただけたことは救いでした。学会に対して、何らかのきっかけで、私のように一時期でも、学会から足が遠のいていく、という気持ちは、案外多くの会員の中には少なからずあるように感じています。今春、中京大学で開催された久しぶりの対面方式の学会大会は、学会から遠のいていた気持ちをグッと引き寄せてくれる雰囲気であったことには間違いありません。ぜひとも本学会の日々の活動に目を向けていただき、会員皆さんの研究の飛躍となるきっかけを掴んでもらえることを願っています。