学会長挨拶 西山哲郎(関西大学)

今期(2025-2026年度)の学会理事が選出された2025年3月、日本スポーツ社会学会編の『スポーツ社会学事典』(丸善出版)が刊行されました。30数年前、本学会の創設を初代会長の下で側聞していたかつての院生として、この事典に企画から関わることができたのは感慨深いものがありました。
今回の事典に収録された記事の構成を考えるにあたっては、国内の類書はもちろん、英語圏のSports Studies関連の事典や辞書を参照し、国内外の関連学会での発表タイトルも調べています。記事執筆を依頼する相手は学会員が主となりますので、これまでに蓄積された傾向がそこに自然と反映されましたが、その一方で、われわれにないものを外部から補ってもらった部分もありました。もちろん、研究テーマの傾向は本学会の個性と理解すべきものですが、未開拓な部分を見つけて発展させるきっかけになれば嬉しく思います。
なお、前期から引き継がれた喫緊の課題に、諸外国のスポーツ社会学会との関係強化がありますが、その際にも今回の事典出版を通じて形成された視野が基盤となることでしょう。海外で注目されているテーマを日本で開拓していく人もいれば、日本で発展してきたテーマを海外に発信する人も出てくる、今後はそうした展開が期待されます。
最後に、昨今は学術研究のあり方に世間の目が厳しく、近接領域の学会や他の学問領域との競合も増え、何をどのように研究するかについて再考が求められています。だからこそ、そこに参加し、研究を発表することに魅力が感じられる学会であり続けることが重要と考えます。学会内外の人々と知的に交流できる場を目指して、理事会をはじめとする皆様と共にこれからの任期を務めますので、ご支援のほど、よろしくお願いします。