日本スポーツ社会学会研究委員会
金子 史弥
浜田 幸絵
日本スポーツ社会学会研究セミナー開催のご案内

謹啓 時下益々ご清祥の段、お慶び申し上げます。
 さて、研究委員会では毎年研究セミナーを開催しております。参加は無料となっております。本学会会員のみならず、日ごろからスポーツや社会学に関心をお持ちの方々の参加もお待ちしております。万障お繰り合わせの上、ご参加いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

敬具

日 時:2022年1月31日(月)18時~19時30分
会 場:Zoomによるオンライン開催
内 容:「東京2020大会と<ハーフ>アスリート」
報告者①:ケイン 樹里安(昭和女子大学)
報告者②:河野 洋(福山平成大学)
指定討論者:金子 史弥(立命館大学)
司会:浜田 幸絵(島根大学)

 参加希望の方は、1月27日(木)までにhttps://forms.gle/hLXcygyKdYYLiyJP8 より、お申し込みください。期日までに申し込みをされた方にのみ、ZoomのミーティングIDとパスコードをご連絡いたします。
 なお会員に対しては、学会ウェブサイトにて期間限定でオンデマンド配信もいたします。オンデマンド配信の視聴の場合は、申込は必要ありません。

問い合わせ先:s.hamada@soc.shimane-u.ac.jp(島根大学:浜田幸絵)
f-kaneko@fc.ritsumei.ac.jp(立命館大学:金子史弥)

【概要】
 東京2020オリンピック・パラリンピック大会では「多様性と調和」というスローガンが掲げられていた。感染症拡大や森組織委員会会長の女性蔑視発言により五輪反対の世論が高まりをみせるなかで、それを封印するかのように一層前面に押し出されていったのが、このスローガンであった。開会式でも「多様性」を強調する演出が多くみられ、日本選手団旗手には八村塁選手、開会式の聖火最終ランナーには大坂なおみ選手がそれぞれ起用された。いわゆる<ハーフ>選手の式典における重点的起用は、日本社会が<単一民族国家>の神話を手放したことを国際社会にアピールした瞬間であったと評価することもできよう。
 しかし、華やかな式典や競技の外にも目を向ければ、今回の大会は、日本が「多様性と調和」を尊重する社会からはほど遠いという現実―旧来の<日本人>の境界を維持したいという欲望や人種的ステレオタイプの存在―をかえって浮かび上がらせたようにも思える。本研究セミナーでは、東京大会において<日本人>がどのように定義されようとし、<ハーフ>アスリートに対してどのような視線が向けられていたのか、を主題としたい。その際、アスリートへの誹謗中傷も盛んに飛び交ったインターネットという情報空間の特徴や、「多民族国家」イギリスを前面に押し出して開催された2012年ロンドン大会との比較についても議論できればと考えている。

【報告要旨】
報告者①:ケイン 樹里安(昭和女子大学)
報告タイトル:ちぎりとられたダイバーシティとメガ・スポーツ・イベント
――「ハーフ」アスリートの人種化と抑圧の批判的言説分析

 本報告では、東京2020大会での活躍が期待された「ハーフ」アスリートをめぐって、どのような言説が現れていたのかについて、問題提起を行う。ダイバーシティ&インクルージョンが「多様性と調和」として伝えられ、そのなかでどのようなダイバーシティが選別され、称揚され、はたまた周縁化されてきたのか。グローバルなメガ・スポーツ・イベントであるオリンピックやさまざまな国際大会で「ハーフ」アスリートが活躍するたびに出現する言説を整理することで、「スポーツをする」ことがどのような力学のなかにあるのかについて、論点を提示したい。
 特に、「ハーフ」アスリートの活躍にまつわるさまざまな「評価」のありかた、東京2020大会が近づくにつれ、顕著に見受けられた「克服の物語」の出現といった出来事を、新聞記事を中心的な対象としつつ検証する。

報告者②:河野 洋(福山平成大学)
報告タイトル:インターネットコメントから考える、ハーフ選手と「日本人」

 本報告では、日本のハーフ選手に向けられる「インターネットコメント」の情報提供を行う。インターネットを「多様性と調和」の点から論じるのは容易ではないが、実際に投稿されたコメントデータとそれに基づく知見を共有しながら、スポーツの立場からインターネットの在り方を考える機会としたい。
 内容としては、はじめに報告者のこれまでの調査事例(2014年サッカーW杯/2015年ラグビーW杯/2016年オリンピックリオ大会/2020年テニス全米オープン)から、スポーツを取り巻く「インターネット上の人種問題」について整理する。続いて、2021年オリンピック東京大会で投稿されたハーフ選手へのコメントを、試合結果や選手の動向などを踏まえながら検証する。

以上